フレイル予防には「食事」「運動」「交流」が大切
加齢による心身の老化は誰もが避けることはできませんが、要支援・要介護の前段階と言われるフレイルは、日々の生活を見直すことにより予防することができます。
定年になり第一線を退いたら、「栄養バランスのとれた食事」「適度な運動」「積極的な交流」を心掛け、早め早めにフレイルを予防しましょう。
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栄養バランスのとれた食事
高齢になっても健康な体を維持して行くためには、栄養バランスのとれた食事が必要になります。
特に脂質や糖質と並ぶ三大栄養素のひとつであるタンパク質は、筋肉や血液、皮膚、各臓器、髪、爪などの材料となる重要な栄養素で、人の体の約20%はタンパク質で構成されています。
人間の身体は、体内のタンパク質が不足すると筋肉を分解してエネルギーに変えています。そのため、タンパク質が足らない状態が続くと、運動をして筋肉をつけようとしても効果がなく、益々やせ細ってしまい、フレイル状態が進行してしまいます。
タンパク質は、肉・魚・大豆製品・乳製品・卵などに含まれているので、しっかりと摂るようにしましょう。
ごはん、めん類、イモ類、果物などに多く含まれる炭水化物(糖質)は、体内でブドウ糖に分解され、体や脳を動かすためのエネルギー源になります。
油やバターに含まれる脂質は、体内で脂肪酸に分解され、主にエネルギー源として使われるほか、細胞膜や臓器、神経などの構成成分となったり、体温を保つなどの役割があります。
炭水化物と脂質は、必要以上に摂り過ぎると体内に蓄積され肥満の原因になりますが、フレイルを防ぎ健康を維持するために、なくてはならない栄養素です。
また、野菜・果物・海藻・キノコなどに豊富に含まれるビタミン類は、血管や粘膜、皮膚、骨などの健康を保ち、新陳代謝を促す働きがあります。
カルシウム、鉄、ナトリウムなどのミネラル類は、骨や歯などの構成成分になって骨粗しょう症を防いだり、体の調子を整える働きがあります。
毎日の食事で、タンパク質・脂質・糖質の三大栄養素に、ビタミン類・ミネラル類を加えた五大栄養素をバランスよく摂るようにすることがフレイル予防になります。
適度な運動
定年を迎え、仕事や職場への通勤がなくなると、人は一気に老け込んでしまいがちです。
体や脳を動かす機会が減少してしまうことがその一因ですが、フレイル予防のためには意識して運動をする必要があります。
筋肉・骨・関節などの運動器は、何もしないと衰えて行きます。
筋肉量が急激に減少する病態を「サルコペニア(Sarcopenia)」と言っていますが、進行すると重いものが持てなくなったり、ペットボトルのふたや缶のプルタブが開けづらくなったりといった事が頻繁に起こるようになります。
また、骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、歩いたり、立ったり座ったりといった動作がスムーズに行かなくなり、日常生活に支障をきたすようになった状態を「ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)」と言っていますが、こちらも進行すると椅子から立ち上がれなくなったり横断歩道を青信号で渡り切れなかったりといった事が起こるようになります。
サルコペニアもロコモティブシンドロームも、最終的にはフレイルを招き、介護が必要な状態になるリスクがあります。
しかし、フレイルになる前に適度な運動を継続することにより、筋肉・骨・関節などの衰えを防ぐことができ、健康寿命を延ばすことができます。
体調に合わせて、ウォーキングやスクワット、ラジオ体操、片脚立ち、その他のストレッチなど、全身の筋肉や関節を使う運動を積極的に行うことが大切です。
また、家の中の掃除をしたり、庭木の手入れをしたり、コンビニや郵便局へ歩いて行ったりと、毎日の生活の中で体を動かす機会をなるべく多くするのも効果的です。
軽く汗ばむ程度の運動には、ストレスを解消し気分をリフレッシュする効果も期待できるので、フレイル予防につながります。
※何らかの持病をお持ちの方は、かかりつけの医師と相談の上、無理のない運動を続けてください。
積極的な交流
フレイルが問題になるのは、身体的な衰えばかりでなく、何もする意欲がなくなり閉じこもりがちになるなど、精神的な変化を伴いつつ要介護や寝たきりの状態に近づいてしまうことです。
特に定年後は、人と接する機会が急激に減少し、誰とも会話することなく一日を終えてしまうということも珍しくありませんが、このような状態が続くと、フレイルが進行するほか認知症のリスクも高まります。
簡単なアルバイトをしてみたり、趣味や習い事などのグループ活動、地域のボランティア活動など、積極的に社会参加をすることにより、フレイルを予防することができます。
グループ活動が苦手なら、家族や友人と一緒にどこかに出かけたり、近所の人に積極的に話しかけたりと、交流を楽しむようにしましょう。
また、スマホやパソコンを使える方は、SNSなどで遠方に住んでいる人や見知らぬ人との交流も可能です。
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