定年退職後の健康保険をどうするか
定年退職後、他の会社に再就職し、再就職先の健康保険に加入できればそれに越したことはありませんが、それ以外の場合は、「健康保険の任意継続」「国民健康保険に加入する」「家族の扶養になる」の3通りの方法から選ぶ必要があります。
病気になってから慌てなくて済むように、退職日までに良く考えて選んでおきましょう。
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定年後の健康保険は3種類
健康保険の任意継続
健康保険の任意継続とは、退職時まで加入していた政府管掌健康保険や組合管掌健康保険に引き続き加入するものです。
この手続きを行うことにより、退職後も今までとほぼ同じ保障を健康保険組合から受けることができます。
ただし、任意継続被保険者になるには、次のような条件があります。
・退職前日までの健康保険の被保険者期間が継続して2カ月以上あること(共済組合は1年以上)
・資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に申請手続きをすること
この任意継続で注意しなければならないのは、保険料が全額自己負担になるということです。会社員時代は、会社が健康保険料の2分の1を負担していましたが、退職後はそれがなくなるので、今までの2倍の支払額になるということです。
保険料の計算方法は各健康保険組合により異なりますが、上限が決められており、配偶者も引き続き扶養にできるので、国民健康保険の保険料よりは安くなるケースが多いようです。
また、任意継続の加入期間は退職から2年までと決められています。
国民健康保険に加入する
国民健康保険は、地方自治体(市区町村)が運営する健康保険制度で、主に自営業者や失業者、退職者などが加入しています。
保険料(または保険税)は、前年の所得や保有財産などをもとに、所得割、資産割、均等割、平等割の合計額として算出されますが、地方自治体により計算式や料率が異なります。また、40歳以上65歳未満の人には介護保険分が加わります。
国民健康保険には扶養制度がないため、配偶者がいる場合など、それぞれが個別に負担することになります。
定年退職後、すぐに国民健康保険に加入した場合、保険料は退職前の1年間の収入に基づいて計算されるため、最初の支払いは厳しくなることが予想されます。
このような急激な負担増を避けるためには、退職直後の2年間は任意継続に加入し、その後国民健康保険に加入するという選択が現実的です。
ただし、同じ世帯の家族が自営業などで、すでに国民健康保険に加入している場合は、世帯当たりの保険料の上限額があるため、さほど負担増にならない場合もあります。
国民健康保険の保険料(介護保険料含む)の上限は、1世帯あたり月額約6万円程度ですが、市区町村により異なります。
国民健康保険の保険料は、市区町村役場の窓口で試算してもらえるので、心配な方は問い合わせてみましょう。また、加入手続きは退職日から14日以内に市区町村役場の窓口で行います。
家族の扶養になる
子供や配偶者、親が会社員で、公的医療保険に加入している場合、被扶養者になることができます。この場合は自分で保険料を支払う必要がないため、最も負担が軽い選択になります。
ただし、被扶養者になるには次のような条件があるので注意してください。
・60歳以上で年収が180万円未満であること
・扶養者と被扶養者が生計維持関係にあること
・健康保険の被保険者期間が継続して2カ月以上あること
・資格喪失日(退職日の翌日)から5日以内に申請手続きをすること
申請手続きは、被保険者(扶養者)の勤務先で行ってもらいますが、加入条件については健康保険組合により異なる場合があるので、被扶養者になる予定の健康保険組合に、事前に加入条件について確認しておきましょう。
また、退職後、失業保険を受給する場合、年収180万円を超えてしまうと被扶養者になれないので、その点も注意が必要です。
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